『山女』や『アイヌモシㇼ』で国内外から高い評価を受け、近年では海外ドラマの演出も手がけている映画監督・福永壮志さん。
北海道出身の福永壮志さんは、アメリカ留学をきっかけに映画の道へ進み、インディペンデント映画の世界で着実にキャリアを築いてきました。
この記事では、福永壮志さんのこれまでの経歴を時系列で振り返りながら、代表作や主な受賞歴を分かりやすくまとめてご紹介します。
福永壮志の経歴①北海道からニューヨークへ!海外で広がった表現の世界
名前:福永壮志(ふくなが たけし)
生年月日:1982年9月10日生まれ ※2025年現在43歳
出身地:北海道
職業:映画監督、脚本家
北海道からアメリカへ――映画以前の動機

引用元:GQ Japan
福永壮志さんは北海道出身。
高校卒業時、映画をやりたいという強い気持ちがあったわけではありませんが、視野を広げたい、異文化に触れたいという思いから、アメリカ行きを決意しました。多民族国家であるアメリカなら、さまざまな国の人々と出会えると考えたそうです。
ただ、英語力が十分ではなかったため、まずは日本国内の英語学校を経てアメリカへ渡ることにしました。
ミネソタ州の大学で“自由に表現すること”を学ぶ

引用元:読売新聞オンライン
ミネソタ州の大学で一般教養を2年間学ぶ中、写真やビデオ、アートの授業を選択。
アメリカ人学生が自由で自信を持って表現する姿に衝撃を受け、「芸術はもっと自由でいい」と感じたことが、映画へ向かう大きな転機となり、2005年にニューヨークへ移りました。
福永壮志の経歴②ニューヨークでの映画修業と評価
映画学校での学びと学生賞受賞
ニューヨークでは、ニューヨーク市立大学ブルックリン校映画学部へ進学し、在学中に制作した8分ほどの短編映画が、ナショナル・ボード・オブ・レビュー学生賞を受賞しました。
まだ映画制作の経験がほとんどなかった福永壮志さんですが、「まずは知ろう」という気持ちで学びながら制作した短編が評価されたことは、大きな自信につながったようです。
この短編は福永壮志さんを含め3人で制作し、製作費は約1,000ドルでした。
制作会社勤務で身につけた実践力
大学卒業後、知人からの紹介で2007年からアメリカの制作会社に就職し、約2年間働きました。
小さな会社だったため、撮影から編集まで幅広く手がけ、映像制作の全体像を現場で体験。
この時期の実務経験が、後のインディペンデント映画制作の土台となっています。
福永壮志の経歴③フリーランス編集者から映画監督へ
「監督になるための編集」という選択

引用元:ENCOUNT
2009年、福永壮志さんは映画監督を目指し、フリーランスとして編集の仕事をスタート。
最初は安定しませんでしたが、会社ではできない自分の作品づくりの時間を確保するための選択でした。
その前にはマンハッタンの「エディットセンター」で短期間学び、編集技術だけでなく、プロとしての働き方も身につけています。
福永壮志さんにとって編集はゴールではなく、映画監督になるための重要なプロセスでした。
長編デビュー作『リベリアの白い血』誕生

引用元:Tokyo International Film Festival
生活が安定する一方で、「このままでは長編が撮れない」と感じ、2012年頃から本格的に長編制作へと動き出します。
約3年の歳月をかけ、2015年に初長編映画『リベリアの白い血』を完成。
同作は第65回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品され、ロサンゼルス映画祭で最優秀作品賞、サンディエゴ・アジアン映画祭で新人監督賞を受賞するなど、国際的に高い評価を受けました。
福永壮志の経歴④国際的評価と作品一覧
映画祭・レジデンシーで広がる世界

引用元:X
『リベリアの白い血』以降、カンヌ国際映画祭が主催する「シネフォンダシオン・レジデンス」に選出されるなど、国際的な映画人とのネットワークを拡大。
ヨーロッパや中東の脚本ラボにも参加し、次世代の国際共同制作を視野に入れた活動を続けています。
近年は『アイヌモシㇼ』『山女』など、日本の文化や歴史に深く根ざした作品を発表。
さらに海外ドラマの演出も手がけ、日本と海外を横断する映画監督として注目を集めています。
・『リベリアの白い血』(2015年)
・『アイヌモシㇼ』(2020年)
・『シルマシ』(短編/MIRRORLIAR FILMS Season4)(2022年)
・『山女』(2023年)
・『Tale of Cows』(短編)(2024年)
・『アイヌプリ』(ドキュメンタリー)(2024年)
・『TOKYO VICE』(2024年)
シーズン2 第5話「百鬼夜行」、第6話「寸進尺退」
・『SHOGUN 将軍』(2024年)
シーズン1 第7話「線香一本の時(英語版)」
・第21回ロサンゼルス映画祭 最高賞
(U.S. Best Fiction Award/『リベリアの白い血』)
・第16回サンディエゴ・アジアン映画祭 新人監督賞
(『リベリアの白い血』)
・第31回インディペンデント・スピリット賞
ジョン・カサヴェテス賞 ノミネート(『リベリアの白い血』)
・第19回トライベッカ映画祭
国際ナラティブ・コンペティション部門 審査員特別賞(『アイヌモシㇼ』)
・第23回グアナファト国際映画祭
国際長編コンペティション部門 最優秀作品賞(『アイヌモシㇼ』)
・第15回TAMA映画賞 最優秀新進監督賞(『山女』)
アメリカ留学をきっかけに映画の世界へ進み、インディペンデント映画から国際映画祭、そして海外ドラマへと活動の幅を広げてきた福永壮志さん。
派手な経歴に見えますが、その裏には一つひとつの選択を積み重ね、自分の表現と真摯に向き合ってきた歩みがあります。
これからどんな作品で世界を驚かせてくれるのか、福永壮志さんの今後の活躍にも引き続き注目していきたいですね。